論述問題コーナー

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100字〜200字程度の論述問題を解くと、歴史の流れの中でどんなことが大切なのかを把握することができ、実力を高めることができます。
入試の際、共通テストだけの人にもオススメの学習法です。
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★論述問題の解き方
1 問題文の要求を満たすため、どのような歴史事象、歴史用語を用いればよいかを列記する。
(指定語句がある場合でも、それはあくまでもヒントです。それ以外に用いなければならない事象や用語が隠されて います。指定語句を使っただけでは合格点には至りません)
2 列記された事象、用語を字数に見合うように取捨選択する。
3 説得力のある答案を作るため、事象、用語を使用する順番を考える。
4 字数が超えた場合、どこを縮約すればよいか検討する。

・課題の論述問題では字数の制限をしていますが、慣れないうちはこの字数以内で書くことが難しいと思います。最初は字数にこだわらず、必要な 事項を書くこと に専念するとよいでしょう。


★それぞれの論述問題の平均点です(2020/4/23現在) 7点以上が合格の目安です

<001 旧石器時代> 1=6.7 2=4.7
<002 縄文時代> 1=8.8 2=6.9 3=6.4 4=6.7
<003 弥生時代> 1=5.7 2=7.1
<004 小国の分立と邪馬台国>  1=5.8 2=7.4 3=6.8
<005 大和政権の成立> 1=6.8 2=5.5
<006 国土統一と氏姓制度> 1=6.0 2=7.0 3=6.3 4=8.5
<007 古墳時代の文化> 1=6.3 2=5.0 3=6.3
<008 大和政権の動揺> 1=6.4

★問題
《1 日本文化の黎明》
<001 旧石器時代>
1 更新世とはどのような時代であり、当時の日本はどのような状況にあったか。次の語句を使用し、100字以内で述べよ。
    使用語句=氷河時代、関東ローム層
★ヒント=関東ローム層は「盛んな火山活動」の説明材料として使用する。

2 旧石器文化の特色は何か。どのように発達したか。次の語句を使用し、100字以内で述べよ。
    使用語句=オオツノシカ、握槌、石刃
★ヒント=オオツノシカは狩猟対象の例として使用する。


<002 縄文時代>
1 完新世になって、日本ではどのような変化が生じたか。次の語句を使用し、100字以内で述べよ。
    使用語句=海進現象、ドングリ、イノシシ
★ヒント=ドングリは植生の変化、イノシシは動物相の変化の説明材料として使用する。

2 旧石器文化と比べたとき、縄文文化の特色は何か。次の語句を使用し、100字以内で述べよ。
    使用語句=弓矢、石皿、ドングリ、サケ・マス
★ヒント=石皿は磨製石器の事例、サケ・マスは漁労を指摘するのに使用する。

3 縄文時代の社会と、信仰および特徴的な風習について、次の語句を使用して120字以内で述べよ。
    使用語句=貝塚、抜歯、屈葬
★ヒント=貝塚は定住の証拠として使用する。

4 縄文文化の発展はどのような点で認められるか。次の語句を使用して50字以内で述べよ。
    使用語句=ひすい、三内丸山遺跡
★ヒント=三内丸山遺跡は大規模集落の事例として使用する。


<003 弥生時代>
1 縄文文化と比べたとき、弥生文化の特色は何か。使用された道具を挙げながら、次の語句を用いて100字以内で説明せ よ。
    使用語句=木鋤・木鍬、穂首刈り、銅鏡
★ヒント=穂首刈りのための道具として、石包丁も記述する。

2 稲作が始まったことで、弥生時代にはどのような社会の変化がもたらされたか。そのことを示す事例を挙げながら、次の語句を使用して100 字以 内で説明せよ。
    使用語句=甕棺、支石墓、玉・鏡
★ヒント=甕棺を一般人、支石墓を首長の墓の事例として使用する。


<004 小国の分立と邪馬台国>
1 弥生時代のムラは、やがてクニに発展し、最終的には国土統一に向かった。その過程でどのような現象が起きていたか。考 古学の遺物から わかることについて、次の語句を使用して100字以内で述べよ。
    使用語句=高地性集落、平形銅剣、銅鐸
★ヒント=高地性集落は抗争の証拠として使用し、平形銅剣、銅鐸は地域圏の問題を指摘するのに用いる。

2 紀元前1世紀から1世紀の日本について、中国史書はどのように記載しているか。考古学の遺物にも触れながら、次の語句を使用して 150字以内で説明せよ。
    使用語句=楽浪郡、漢委奴国王、生口
★ヒント=漢委奴国王は、志賀島出土金印を説明するのに使用する。

3 3世紀の日本について、中国史書がどのように記載しているかとともに、邪馬台国があった場所についての二説を指摘し、それぞれの説がその 後の 歴史の展開にどのような影響を与えるか、次の語句を使用して150字以内で述べよ。
    使用語句=金印紫綬、狗奴国、壱与、国土統一
★ヒント=狗奴国は、洛陽遣使と関連付けて使用する。



《2 大和政権の成立と国土統一》
<005 大和政権の成立>
1 副葬品や構造面に着目し、前期古墳(3世紀後半〜4世紀)の特徴と被葬者の性格について、次の語句を使用し、80字以 内で説明せよ。
    使用語句=畿内、玉・鏡
★ヒント=畿内は前方後円墳の出現地として使用する。

2 3世紀後半〜4世紀の朝鮮半島の情勢と、倭(日本)との関わりについて、次の語句を使用して150字で述べよ。
    使用語句=辰韓、鉄資源、七支刀、391年
★ヒント=辰韓にからめて三国時代に移行したことを記す。鉄資源は倭と加耶との関係性、七支刀は倭と百済の同盟関係の中で使用する。391年 は、倭と高句麗好太王が交戦した年である。


<006 国土統一と氏姓制度>
1 副葬品や構造面に着目し、中期古墳(5世紀)の特徴と被葬者の性格について、次の語句を使用し、80字以内で説明せ よ。
    使用語句=大山陵古墳、武具・馬具
★ヒント=大山陵古墳は、巨大古墳の事例として使用する。

2 5世紀のヤマト政権と地方との間には、どのような関係が作られていたか。そのことを証明する遺物をあげながら、次の語句を使用して80字 以内 で述べよ。
    使用語句=ワカタケル大王、熊本県
★ヒント=ワカタケル大王がヤマト政権の王(のちに「雄略天皇」と諡号される)であることがわかると、なおよい。

3 5世紀の倭の五王について記載する中国史書を取り上げ、中国遣使の目的と成果がどのようなものだったか、次の語句を用いて80字以内で述 べ よ。
    使用語句=「宋書」倭国伝、讃、ワカタケル大王
★ヒント=ワカタケル大王が武であることをうまく結びつけること。

4 古墳時代の社会、政治構造について、次の語句を使用して180字以内で述べよ。
    使用語句=氏、田荘、部曲、大王、屯倉、田部、姓、大臣、大連、伴造、国造、子代・名代
★ヒント=用語を順に並べてゆけばよい。


<007 古墳時代の文化>
1 古墳時代には日本の固有信仰が確立したとされる。何を祀り、祭りや神事がどのようにおこなわれたか、また、神がどのよ うに語られた か、次の語句を使用して100字以内で述べよ。
    使用語句=祖先、ケガレ、神意、予祝、旧辞
★ヒント=予祝は、将来の願いが叶うことをあらかじめ祝う行為である。

2 渡来系氏族はヤマト政権にどのように仕え、渡来系の技術部民に何があったか。また、思想面で影響を与えた大陸文化がどのように伝わった か。次 の語句を使用して120字以内で述べよ。
    使用語句=弓月君、東漢氏、韓鍛治部、欽明天皇
★ヒント=欽明天皇は仏教公伝で使用する。

3 副葬品や構造面に着目し、後期古墳(6世紀)の特徴と被葬者、墳墓としての性格について、次の語句を使用し、80字以内で説明せよ。
    使用語句=群集墳、土器や日用品
★ヒント=群集墳は、円墳が多数作られたのを説明するのに使用する。


<008 大和政権の動揺>
1 6世紀の蘇我氏台頭の背景、およびその過程について、次の語句を使用して100字以内で述べよ。
    使用語句=渡来人、内蔵、蘇我稲目、物部守屋、崇峻天皇
★ヒント=用語を順に並べてゆけばよい。


《3 律令制中央集権国家の建設》
<009 推古朝の政治>
1 推古朝の内政と外交はどのようにおこなわれたか。次の語句を使用し、100字以内で述べよ。
    使用語句=官僚制、仏教、小野妹子
★ヒント=官僚制は冠位十二階、仏教は十七条憲法の説明で使用する。


<010 大化改新>
1 大化改新の詔(1〜4条)の内容について、次の語句を使用し、120字以内で述べよ。
    使用語句=私地私民、戸籍、口分田、計帳、俸禄、郡司
★ヒント=私地私民は公地公民とセットで使う。戸籍、口分田は班田収授、計帳は税制、郡司は国司とセットで使う。


<011 改新政治の推移>
1 白村江の戦いに至る過程と、敗戦の影響について、次の語句を使用して100字以内で述べよ。
    使用語句=唐、防人、朝鮮式山城
★ヒント=戦いに至る過程は、朝鮮半島の情勢について述べる。

2 近江大津宮に遷都した後、天智天皇はどのような政治をおこなったか。次の語句を使用して60字以内で述べよ。
    使用語句=大海人皇子、近江令
★ヒント=近江令は制定が疑われていることに注意する。


<012 律令国家の完成>
1 壬申の乱の原因と影響は何か。次の語句を使用し、100字以内で述べよ。
    使用語句=大友皇子、東国豪族
★ヒント=壬申の乱には皇位継承争いのみならず、中央対地方の対立が背景にあることに留意する。

2 天武・持統天皇の政治はどのようなものか。次の語句を使用し、130字以内で述べよ。
    使用語句=国史、富本銭、庚寅年籍、律令国家
★ヒント=天武・持統天皇によって律令国家が完成したことを述べる。


提出すべき課題はここまでです。************************************************
以下については、余力のある人はやってみてください。


<013 律令制下の統治組織>
1 律令制の身分制度はどのようになっていたか。次の語句を用いて100字以内で述べよ。
    使用語句=五位、品部・雑戸、陵戸、五色の賤
★ヒント=五位は貴族に言及するときに用いる。

2 律令制の中央官制ではどのような官職が置かれ、どのような仕事をしたか。また、官位と官職にはどのような関係があったか。次の語句を使用 し、100字以内で述べよ。
    使用語句=神祇官、民部省、五衛府
★ヒント=民部省は八省の代表例として用いる。

3 律令制の地方行政区分を説明し、一般の地方行政がどのようにおこなわれていたかについて、次の語句を用いて100字以内で述べよ。
    使用語句=五畿、七道、郡司、里
★ヒント=地方行政官の任期や任用法について説明する。

4 貴族の特権には経済的、身分的にどのようなものがあり、政治にどのような影響を与えたか。70字以内で述べよ。
★ヒント=政治への影響については、藤原氏を念頭に置くとよい。


<014 律令制下の農民>
1 班田収授法とはどのような制度か。モデルとなった制度、面積にも触れ、50字以内で述べよ。
★ヒント=なし

2 律令制下の農民の租税負担にはどのようなものがあったか。数量や納付先、負担者にも注意しながら、次の語句を用いて120字以内で述べ よ。
    使用語句=国衙、運脚、正丁
★ヒント=漏れのないように注意したい。

3 律令制下で、本来の目的を離れて農民の雑負担となったものにどのようなものがあり、兵役はどのように負担されたか。前者は本来の目的にも ふれながら、次の語句を用いて100字以内で述べよ。
    使用語句=正丁、自弁、衛士
★ヒント=「本来の目的を離れて」とあるので、運脚、仕丁には言及しない。


<015 平城遷都と律令国家の充実>
1 8世紀初頭における、律令制中央集権国家の充実ぶりについて、都城、貨幣、史書編さんの視点から、次の語句を用いて100字以内 で述べよ。
    使用語句=天子南面、皇朝十二銭、六国史
★ヒント=「天子南面」は中国皇帝が都城の北端で執政をする習わしである。

2 7〜8世紀における、日本の東北地方、西南地方への中央政府の勢力拡大について、次の語句を用いて120字以内で述べよ。
    使用語句=粛慎、多賀城、掖久
★ヒント=東北地方については、勢力拡大のための拠点について指摘する。

3 7〜9世紀頃、日本は大陸の国々とどのような外交をおこなったか。目的や影響にもふれながら、次の語句を用いて150字以内で述べよ。
    使用語句=北路、元昉、遣新羅使、渤海
★ヒント=北路は、それとセットの用語を用い、両者の変遷とその背景も記述する。